もっと怒るかと思っていたけど……予想よりはずっと穏やかな印象を受けた。
「そうなっちゃったものは仕方ないよね。また探せばいいだけなんだから、頑張ろうよ」
「お気楽ね。でも香山さんの言う通り、また探せばいいわ。問題は中島君だけど……」
私が何とか名前を出さないようにしていたのに、遥の口から出てしまった。
恐る恐る高広の顔を見てみると……。
「へぇ。中島も『カラダ探し』をしてんのか」
と、退屈そうに呟いていて、私をぶったのが中島君だと気づいていないみたいだ。
「それは……大丈夫だと思うよ。今日の『カラダ探し』からはね」
フフッと笑って見せた私に、不思議そうに遥は首を傾げる。
「昨日」までの武司があんな調子だったから、しゃべったなんて言っても信じないだろうな。
それは「カラダ探し」になってからのお楽しみという事で。
今日ほど、夜になるのが楽しみな日はなかった。
1限目が終わり休み時間。
高広は自分の机が一番よく眠れると言い、教室に戻っていった。
そう言えば、幸恵がまだ「カラダ探し」を頼みに来ていないな。