「そんなわけないでしょ。それより日菜子、あんた『昨日』何があったのよ? いきなり死んでるんだもん、びっくりしたよ」


「え? 私!? うーん……よくわからないんだよね。家の前まで帰ったのは覚えてるんだけど……気づいたら朝だったんだよね。何かが頭に当たったかも」


首を傾げながら、後頭部をさする日菜子。


何が起こったのかわかると思ったのに……本人がわからないんじゃどうしようもない。


「通り魔かしらね。香山さんが『カラダ探し』をしていたのが不幸中の幸いだったわ。殺されても死なないから」


普段なら怖がるかもしれないけど、「カラダ探し」をしている私達には関係ないかな。


もしも通り魔なら、その気になれば犯行を未然に防ぐ事も、犯人を捕まえる事だってできるから。


今の私達には、それはたいした問題ではなかった。


「これが今回のメンバーかよ。小川、テメェか? 明日香をぶったのは」


屋上にいた3人を見回し、唯一の男子である小川君に、高広が詰めよった。


「ぼ、僕はそんな事しないよ……森崎さんをぶつだなんて」


そんな奴と一緒にいるはずがないのに。


高広はどうしてこうも早とちりをするのか。


雰囲気が変わったように思えたのは、気のせいだったのかな?