「あっ! しまった、忘れてたぁ……遥に何て言えばいいんだろう」


うれしくて、カラダを持ったまま死んでしまった事を忘れていたよ。


学校に行ったら遥に何を言われるか。


「何だ? 遥がどうかしたのかよ?」


「い、いや……何でもない、こっちの話だからいいんだ」


こればかりは誰のせいでもない、私の単純なミスなのだから。


でも……小川君が取り出したカラダを移動させるつもりだったなら、同じ事かな。


自分にそう言い聞かせて、私は高広と学校に向かって歩いた。


あとは……カラダを探せばいいだけ。


美紀に頼まれた事はどうしよう。


黒くて怖い人。


それは、小野山邸に行っていない私にとっては未知の存在だった。




学校に着いた時には1限目の途中で、私と高広は教室には入らずに屋上に向かった。


そこには、遥と日菜子、小川君がいて、ドアが開くといっせいに私達を見たのだ。


「あらあら、ずいぶん遅い登校ね。ふたりで朝からデート? まさかね」


遥の言葉に、思ったよりもトゲがない。


もしもそれが、カラダが4つ集まったから機嫌がいいのだとすると、言いにくいな。