「武司、頼むぜ。明日香を」


「はっ。知るかよ……」


たとえ協力してくれなくても、動いてさえくれればそれでいい。


ただ殺されるだけだった武司が逃げるという行動を取ってくれるだけでもかなり違うから。


「わかった。明日香、学校に行こうぜ」


何がわかったのか高広は立ち上がり、真っ赤なおでこを私に向けて、部屋の入口を指差したのだ。


「え? あ……武司は?」


「いいんだよ。学校に来たくなったら勝手に来るだろ」


私の肩に手を当てて向きを変えると、押し出すようにして部屋を出た。










「誰が守るかよ……」









部屋の中から聞こえた、武司の声を背中に感じながら。











「カラダ探し」が始まって四日目。


ずっと殺され続けた武司ももう大丈夫。


家を出て、遅くなったけど学校に向かう私の心の中は晴れやかだ。


カラダが見つかった以上の喜びを感じるよ。


「ありがとうね。武司がしゃべってくれたのは高広のおかげだよ。毎日行った成果だね」


「毎日って……俺は知らねぇよ」



そう言いつつも、何だかうれしそう。


これで「カラダ探し」の事はどうにか……。