ここまでしてもダメなら、もう何をやってもダメだ。


「もういいって。『カラダ探し』は武司の分も私が頑張るからさ。なるべく武司が殺されないように私が守るから……大丈夫だよ」


半ば諦めたように、そう呟いた時だった。











「……はっ」










かすかに……武司が笑ったような声を出したのだ。


その声を聞いて、慌てて頭を上げた高広。


何を言っても、やってもいっさい反応しなかった武司が声を出したのだから無理もない。


「武司……今、笑ったよな!? 頼む! 本当に頼む! 明日香を守ってくれ!」


ダメ押しとばかりに頭を床に打ちつけた高広を……。


武司が、ゆっくりと頭を上げて見下ろしたのだ。


「……ずいぶん腑抜けたもんだな。お前も……俺も」


蔑むような目で高広を見て、そう呟いた武司。







しゃ、しゃべってくれた……。







なぐさめられても、殴られても、殺されても、何も言ってくれなかった武司が。


何が引き戻す決め手になったのかはわからないけど、きっと高広の想いが伝わったのだろう。


まだ立ち上がってはくれないけど、武司がしゃべってくれた事がうれしくてたまらなかった。