「うん、まあ……いろいろとね。私より、翔太と結子は大丈夫なの? すごく落ち込んでるみたいだけど……」
元気なのは高広くらい。
留美子だって無理してるような気がするし。
「翔太は……仕方ないかな。大好きな美雪が棺桶に入っちゃったし。結子はあれじゃない? 武司が来てないからだよ」
ああ、なるほどね。
それにしても翔太は……お弁当を膝の上にのせてるけど、箸が全然進んでないよ。
ボーッと空を見て、口を開けたまま動かない。
やっぱりショックだったんだろうな。
「考えてても仕方ねぇだろ。美雪が何とかするっつったんだからよ、待つしかねぇ」
「あんたねぇ、それでも美雪の友達!? あの子がいなくなって寂……」
と、高広の言葉に留美子が反論した時だった。
屋上のドアが突然開き、中からひとりの大柄な生徒が飛び出してきたのだ。
「ひ、ひいぃぃぃっ! えっ!? なんでここに人が!?」
私達を見て、怯えたような表情を浮かべていたのは、同じクラスの小川卓也君だった。
何かから逃げているような、そんな感じで。
「赤い人」に追われていた時の、皆の表情と似ていたから、そう感じたのかもしれない。