ゆっくり振り返った生産棟の方。


そこに見えたのは、生産棟に向かう武司の後ろ姿だった。


何てタイミングなの。


生き残っているのは私と遥だけ。


その遥がいる生産棟に、見つかってはならない3人が集まるなんて。


これは……遥に伝えるのは明日にして、中島君が調べていた部屋を調べに行った方がいいかな。


同じ棟の三階だから、危険ではあるんだけど。


それでも音楽室を含めてあと二部屋。
今日中に調べておかないと、後で大変な事になるかもしれないから。


覚悟を決めて、私は廊下に飛び出した。


渡り廊下を、フラフラと歩く武司。


北側の教室に入って、中を通って後ろのドアに。


武司がそこからどこに行くのか、少しだけ顔を出してそれを見ていた。


生産棟に入った武司は階段の方に。


ますます厄介な事になってしまった。


一階に行くのか、三階に行くのか……。


それ次第では、どちらも危険になる。


遥には悪いけど、武司には一階に行ってほしい。


私が三階を調べるまでは。


祈りながら廊下に出て、渡り廊下を走り抜けた私は、壁に隠れながら階段を見た。