ゆっくりと見上げると、緑の光に照らされて浮かび上がる、赤い服を着た白い顔の少女が……生産棟の方を指差して立っていたのだ。


「っ!?」


恐怖、安堵、そしてまた恐怖。


激しく揺さぶられる感情に、声を出す事もできない。


美紀に見つかってしまえば、「赤い人」を呼ばれる……。










そのはずだけど、何かが変だ。


美紀が出てくるのは……操る死体がない時だけじゃないの?


私の前にいるのに、「赤い人」が生産棟に行ったのもおかしい。


もう、頭の中がぐちゃぐちゃだよ。


「お姉ちゃん。助けてほしいの」


混乱する私を見下ろして、美紀が小さく、か細い声でそう呟いたのだ。


今度は何!?


黒くて怖い人なら、今はどうする事もできないよ!?


「カラダ探し」の最中に、小野山邸に行けるはずがないんだから。


「な……何を助けろって……」


これは本当に美紀なの?


そう思ってしまうほど、弱々しく、普通の女の子と同じに見えた。


「美紀ちゃんね、お姉ちゃんに追い出されちゃったんだ。だから、こうやって隠れてるの」


追い出された?


そう聞いて思い浮かべる場所は……この階にある放送室だ。