そう言うような気がして、私は階段を上った。


たぶん、誰に聞いても遥が正しいと言うだろうけど。


誰に何て言われてもいいよ。


もしも失敗していたらなんて考えたくはないけど、小川君の頑張りを、カラダを棺桶に納めるという形で実らせてあげたいから。


もしもこの状況で私が死ねば、どうしようもないくらいに状況がぐちゃぐちゃになってしまうかもしれない。


中島君が乱暴に調べた教室にカラダがあった場合、皆が死ねばカラダは移動する。


それを確認しなければ、その現象が起こったかすらもわからないのだ。


絶対に死んではダメだ。


せめて、今日あった事を確認するまでは。


耳を澄まして廊下の音を確かめて。


笑い声は聞こえるけど、あんなに大きな声だ。


この校舎のどこにいたって、あの声は聞こえるだろう。


だから……声が離れて行ったその時に、私は廊下に飛び出した。


教室を越え、渡り廊下を越えて、一番最初に「赤い人」が現れた東棟の三階へと。


派手な笑い声は、「赤い人」の位置を教えてくれる。