その真ん中辺り。


視聴覚室を通り過ぎた頃、叫び声が廊下に響き渡ったのだ。


「なんで俺のところに来るんだよ! 他にもいるだろ!!」



「キャハハハハハッ!!」



音楽室から出た!?


途端に胸が苦しくなって、脚が震え始める。


どこに向かって走っているのかもわからない。


もしかしたらこっちに向かっているのかもしれないけど、なんとしてでも階段にたどり着かないと。


この位置なら、いくら何でも私の方が早いだろうけど……。






「キャハハハハハッ!!」






廊下に響く「赤い人」の笑い声が、私を追いかけているかのような気がして、怖くてたまらない。


生産棟の廊下の東側。


そこに出て、すぐに南へと曲がる。


ここにある階段を下りれば、東棟まではすぐだ。


震える脚を前に出して、必死に駆け下りた階段。


振りきれたかと、下りてすぐの壁にもたれて呼吸を整えていると……。




「キャハハハハハッ!!」





二階の廊下からも聞こえた「赤い人」の声に、私が休める場所などないと思い知らされた。


中島君は、まっすぐ南側に走って、美術室の横の階段を下りたんだ。


でも、まだ大丈夫。


きっと西棟の方に行くよ。


と、思っていたのに。