「キャハハハハハッ!!」
慌てて閉めた教室のドア。
その姿を見ていないから、どこにいるのかはわからない。
私が見つかったのか、それともあの音に気づいたのか。
ペタペタペタと、こちらに向かって走ってくる「赤い人」の足音を、ドア越しに聞きながら、私はギュッとまぶたを閉じて祈った。
どうか……ここに来ないで。
このまま通り過ぎていってと。
「キャハハハハハッ!!」
笑い声が……私が隠れているドアの前を、通り過ぎていった。
……音楽室の方に走っていった?
よかった。
ここで私が殺されたら、中島君が調べた部屋を調べる事ができなくなるところだったよ。
でも、私はどうすればいいの?
この事を遥に知らせに行くべきか、小川君がぬいぐるみの中から取り出してくれたと信じて、カラダを回収しに行くべきか。
「赤い人」がいるこの階からは、早く逃げた方がいい。
でも一階には日菜子がいて、階段を下りている時に、鉢合わせしてしまうかもしれない。
そう考えた私は教室の中を移動して、前のドアから廊下に出た。
生産棟の東側に向かう廊下を走って、小川君がいたであろう場所へと急いだ。