二階を調べてもいいんだけど、ここは人が多い時に一気に片づけた方がいいように思えるから。
西棟にいる武司から逃げるように、私は生産棟の三階に向かった。
小川君がどうなったのか……気になるところではあったけれど、せめて「赤い人」が移動するまでは、安否を確認する事はできない。
私まで死ぬわけにはいかないから。
三階に到着した私は、階段の隣にある美術室に駆け込んだ。
のんびりなんてしていられない。
すばやく、次々と調べていかないと、今は安全かもしれないこの場所も、次の瞬間には危険地帯になってしまうかもしれないのだから。
と、携帯電話の明かりを室内に向けた私は……室内の異様な光景に息を飲んだ。
倒れている椅子、乱雑に床にぶちまけられた胸像や画材。
調べたと言うよりも、散らかしたという方が近い部屋の中は、私の心に言い様のないざわつきを生じさせた。
「何……これ。中島君がやったの?」
それ以外には考えられない。