と、言っても階段の隣に教室があるからすぐなんだけど。


ドアを開けて中に入って、携帯電話の照明を向けて見た。


明かりで照らし出される室内。


机が並ぶ、普通の教室という印象を受ける。


生産棟の教室は変わった部屋が多いから、何だか安心する。


机の上と下、そして中をひとつひとつ、すばやく調べていく。


今回の「カラダ探し」では初めてのこの作業。


慣れているから、それほど時間はかからない。


1列目、2列目と順々に調べて、5分もかからない内に一番後ろの列まで調べ終わる事ができた。


「ふぅ……そう簡単に見つかるはずないか」


教室の後ろにあるロッカーを開けて、中に入っている掃除用具を確認して、私はそっと教室のドアを開けた。


耳を澄まして廊下の音を聞くと……足音が聞こえる。









これは……中島君?








それとも武司か日菜子がここまでやってきたのかな?


日菜子は殺されるような事をしたとは思えないんだけどな。


中島君があんな状態なら、ないとは言いきれないか。


何にしても、今はこの足音をどうにかやり過ごさないと。