生産棟の階段を下りながら、先を行く遥の後ろ姿を眺めて考えていた。


秘密が多いんだよな、遥は。


遥が「カラダ探し」をやった時の事も、家の場所も、どんな過去があるのかもわからない。


「さて……ふたりで調べたいところだけど、『赤い人』に加えて死者がふたりもいるんじゃ、分かれた方がいいわね。どちらかが見つかったら、叫んでもうひとりに知らせる事。いいわね?」


一階に到着し、廊下に顔を出して様子をうかがう。


ここからは生徒玄関の前が丸見えで、もしもふたりがこちらを見ていれば、「赤い人」を呼ばれる危険性があるから。


そして、その予感は的中した。


壁に身を隠して見ていた私達の視線の先で、暗闇の中でうごめくふたつの影。


武司と日菜子の亡骸が、操られて動き始めたのだ。


フラフラと、おぼつかない足取りで生徒玄関へと向かう姿は、映画なんかで見るゾンビみたいで不気味だった。


「私はここから時計回りに調べていくから、明日香は逆回りに調べて」


遥の言葉にうなずき、ふたりの亡骸が生徒玄関に入ったのを確認して、私達は駆けだした。