「小川君、やる事はわかってる? 『赤い人』のぬいぐるみの中から、カラダを取り出すのよ? その後は死んでも構わないけど、それまでに死ぬのはダメなのよ?」


「わ、わかってるよ。教室を調べるのは、慣れてる三神さんと森崎さんの方がいいと思うし……」


何もできずに死んでしまう可能性だってあるのに、思っていたよりも勇気があるのかもしれない。


「わかったわ。それなら任せたわよ。もしも、生き延びたら……ここの一階に来なさい」


「う、うん。じゃあ……行ってくるよ」


寂しそうに廊下を北に歩いていく小川君の背中を見て、私は奇妙な感覚に包まれていた。







何だろう……この違和感は。


小川君がどうこうという事ではない。


今回の「カラダ探し」では、何かズレというか、ワンテンポ遅れているような気がするんだよね。


私が前に「カラダ探し」をやった時は、昼間のうちにどう動くかとか決めていたのに、今回はわざわざ夜になってから。


それも校舎に入ってから決めている。


これが遥のやり方だと言うのなら何も言うつもりはないけど、何か目的があってやっているのかな?