私の言葉に、驚いた様子で日菜子に駆けより、胸に耳を当てる。
「嘘でしょ? どうして香山さんが……2時間前まで私といたのに!」
死を、感じたのだろう。
身体を震わせて、涙を流しているのがわかる。
そんな私達から離れた場所で……日菜子など知った事ではないと言わんばかりに、小川君と中島君の声が聞こえてきた。
「離せよヲタク野郎!! お前も俺の邪魔をするのかよ!」
「ダ、ダメだよ中島君! 動けない袴田君にこれ以上手は出させない!」
「いつから俺に意見できるようになったんだ!? 俺がこいつにどれだけひどい目に遭わされたか!」
後ろからつかんでいる小川君を振り払い、中島君はぐったりする武司の顔を蹴り上げた。
そして、さっきの言葉通り、恨みを晴らそうと言わんばかりに何度も何度も殴りつけて。
日菜子が死んでいる事のショックが大きくて、それをただ見ているだけ。
悲しみがすぎて、私には何もできない。