幸恵のあの姿を見るかもしれないと思うと、正直行きたくはない。
高広にはいつもの幸恵にしか見えないとして、小川君は大丈夫なの?
遥も日菜子も、嫌なら屋上にいないで家に帰ればいいのに。
「あーあ、なんか私だけやる事がないみたいに思えるよ。高広は『呪い』を解くためにいろいろしてたんでしょ?」
「そりゃあ……いろいろな。美子の家に行ったりしてよ、結構大変だったんだぜ?」
その話は聞いたよ。
怖い思いをするのは嫌だけど、私も何かしないと。
今のままじゃ、気持ちだけが空回りして、美雪に任せっきりになってしまう。
美紀の「呪い」が解けなければ、美子の「呪い」を解く事ができないのはわかっているけど、それまでにできる事を何かしたいよ。
「ねえねえ、その家ってさ……美子が教えてくれないかな? どうすれば『呪い』が解けるかを」
「おいおい、バカな事を考えるなよ? 俺はあそこで死にかけたんだよ。絶対に行かねぇからな」
「もう! 少しくらい付き合ってくれてもいいのに!」