そんな初めて話す相手のお願いで、どうにかなるかもしれないなんて思ったのが間違いなのかな。
結局、小川君がどれだけ頑張っても武司を説得する事はできずに、家を出る事になった。
高広が殴ってもダメ、小川君が頼んでもダメ。
結子が励ましているだろうけど、それもダメ。
あゆみちゃんを失った悲しみが、これほどまでに深いなんて考えもしなかったよ。
「武司の野郎、マジで動かなかったな。毎晩あんな感じなのかよ」
「うん。そして毎晩死んでるんだ。もう見てらんないよ」
玄関を出て、学校に向かって歩きながら、どうすればいいのかを考えていた。
私達では、武司の心を動かす事ができない。
カラダを3つそろえて、「昨日」が武司にとっていい方向に変わってくれれば、どうにかなるかもしれないんだけどな。
そのためには、あとひとつ。
「赤い人」のぬいぐるみの中にあるカラダを取り出すのが目的だけど……やれるならそれを棺桶に納めたいな。
どこにあるかがわかっている3つ目のカラダなのだから。
これから学校に戻るのか。