それは止めたいけど……登下校で同じ電車になるのなら、そこで殴られていたら止めようがない。


「どうすりゃいいんだよ。今日の俺がこれを知っていてもよ、明日の俺は何も知らねぇんだぜ? 毎日同じ事を繰り返すつもりか?」


「い、伊勢君……いいよ。僕が耐えればいいだけなんだから……」


高広がそう言った後、慌てて呟いた小川君。


それを見て、遥がハァッと溜め息を吐いた。


「あんた……そんな事じゃ一生負け犬よ。どうして戦おうとしないの? 立ち向かわなきゃ、何も変わらないのよ?」


遥の言葉のすべてが、「カラダ探し」で味わった苦労を語っているかのようで。
少しだけ、見方が変わっているのがわかった。


今の私達にできる事は、小川君がどうすればいじめられずにすむかを考える事だけ。


美雪は「呪い」を解くために目覚めを待ってるっていうのに、私は何をしてるんだろ。


一番手っ取り早いのは、早く「カラダ探し」を終わらせて、高広に守ってもらう事だけど……まだカラダはふたつ。