ゴンッという鈍い音が響き、柵を抱えるようにして中島君は倒れた。


「心底見損なったぜ中島。前から信用できねぇとは思ってたけどよ、ここまでカスだとは思わなかったぜ。立てよコラ。一週間は足腰立たねぇようにしてやんぜ」


な、何言ってんのよ!


そんな事されたら「カラダ探し」に影響が出るでしょ!?


「高広! ダメだからね! 私達は『カラダ探し』をしてるんだから!」


私が叫ぶと、殴りかかろうと拳を振り上げていた高広は動きを止めた。


「痛っ!! 痛い!!……ああ、クソッ! 鼻血が」


流れ落ちる鼻血をその手で受け止めて、慌てた様子で校舎の中へと這っていった。


少しかわいそうかなと思ったけど、小川君をさんざん殴っておいて、自分は一発で逃げるだなんて情けない。


「まったくよ、何なんだあいつは。ほら、大丈夫か? 香山、小川」


ふたりを見て、日菜子はたいした事がないと判断したのだろう。


怯える小川君の前にかがんで、高広は心配そうに顔をのぞき込んだ。


「だ、大丈夫……いつもの事だから。僕は慣れてるから、香山さんを……」