何度も何度も小川君を殴りつける中島君の腕をつかんだ日菜子。


でも……。








「黙れっ!!」









それを振りほどこうとした中島君の手が日菜子の顔に当たり、弾かれるように崩れ落ちたのだ。


「お、おい、香山……中島ぁっ!! 女に手を上げるとはどういう了見だ、コラァッ!」


倒れた日菜子に駆けよって、小川君を殴り続ける中島君に高広が吠えた。


「やめてよ……中島君は皆に優しいのに! どうしてそんな事するのよ! そんな中島君……好きじゃないよ!」


目に涙を浮かべながら日菜子がそう叫ぶと、中島君は手を止めて、蔑むような目で日菜子を見たのだ。


訴えを聞き入れたというような感じじゃない。

何かひどい事を言いそうな雰囲気を、中島君は醸し出していた。


「お前みたいな頭の悪い奴に嫌われたって何も思わないね。俺、バカとは付き合う気ねぇから」


冷たくそう言い放った中島君に、ついに高広がキレた。


日菜子を気遣ってかがんでいた高広が、無言で立ち上がって中島君に近づいた。


そして、髪をつかんで強引に振り向かせると、その鼻目がけて強烈な頭突きを放ったのだ。