確かにビクビクしているように見えるけど、中島君が来ただけでそんなになるなんて異常だよ。


私なんかよりもずっと深い闇を、小川君は抱えているのかもしれない。








しばらくして、1限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、中島君が不敵な笑みを浮かべて屋上のドアを開けた。


ここにやってくるという可能性は考えていたけど、まさかこんなに早く、堂々と来るなんて。


「……よく皆の前に顔を出せたわね。あなたは自分が何をしたかわかってるの?」


怒りに満ちた、にらみつけるような目を中島君に向けて、遥が低い声で牽制する。


だけど、中島君は笑みを崩さない。


「許しを乞うのはキミ達の方じゃないのか? 俺に協力しようともせずに、自分達の考えを押しつけて、ろくにカラダを見つけてもいない」


わざと見えるようにしているのか、左手首に巻かれている包帯が、チラチラと制服の袖から顔を出す。


私に対する当てつけのつもりなのだろう。


「カラダ探し」で「赤い人」にやられた以外の傷は、朝には完治しているのに。