「ダメだよ小川君。人を殴って、自分の思い通りにしようとしてるだけなんだよ?」
「おいおい、武司はともかく、俺を一緒にするんじゃねぇよ」
今しがた、殴るとか言っていたのはどこの誰なんだか。
「それでも、自分の意見を押し通すなんて僕にはできないから……強いふたりが羨ましいよ」
そんな風に思っていたんだ。
強くなりたいというのはわからなくもないんだけどさ、高広と武司はただわがままなだけだと思うんだけどな。
「……なんかそう言われると照れるよな。小川、お前なかなかわかってるじゃねぇか」
「え、えへへ……そう?」
高広に褒められて、うれしそうに頭をかく小川君。
でもこれも、今日の「カラダ探し」が終わればなかった事になってしまうんだよね。
「そんな話はどうでもいいのよ! 強くなりたいなら、思ってるだけじゃなくて行動しなさい!」
笑っていた小川君を一喝する遥の言葉。
せっかく話をするようになったのに、また黙っちゃったよ。
「『昨日』みたいな事が起こるのなら、袴田君に見ててもらいたいかも。私は袴田君苦手だけど」