「行ってきまーす」


学校に行く準備をすませて家を出た私の目の前に、昨日と同じように高広が待っていた。


いつもと変わらない……本当に何も思っていないような大あくびで。


「おう、じゃあ行くか。しっかし寒くなってきたな。朝が辛くてよ……」








昨日の事を何とも思ってないのかな?


なんか、怒ってた私がバカみたいだよ。


「最近遅刻しなくなったよね、高広は。あ、『カラダ探し』の中だったから、遅刻してない事にはなってないんだね」


だったら、怒るのはバカバカしいかな。


昔から高広は、私がいくら怒っても煙のように手応えがなくて、無駄だと何度思った事か。


「そういう事になるかな? ま、いいんじゃねぇの? 明日香がいれば遅刻はしねぇし」


「はは……そうかもね。あ、そうだ。今日は日菜子と買い物に行くから、高広は先に帰っていいよ」


高広と話をしながら学校に向かって、私はこんな毎日がずっと続くんだろうなと思っていた。


少なくとも、「呪い」を解く時までは続くのだと。


だけど私はこの後、自分の考えは甘かったのだと思い知らされる。


あの、二度と聞きたくなかった言葉を耳にしてしまった事で。