屋上に戻って、話は「赤い人」から武司の事に。
ここ二日の「カラダ探し」でまったく動いていなくて、高広が殴っても変わる事はなかった。
「乱暴者は和を乱すだけだから必要ない……と、言いたいところだけど、中島君があんな調子だと、抑えてくれる人がほしいというのは正直な思いね」
「俺がボッコボコにしてやってもいいんだけどよ。それだと俺がいない夜に暴れるかもしれねぇだろ?」
やるのは簡単だろうけど、怒りの矛先が私達に向くのだけはやめてほしいな。
ただでさえ私は恨まれているだろうから。
「何でも殴って解決しようとするのは高広の悪い癖だよ。今までに一度でもそれで上手くいった事があった?」
「そりゃあ……何かあるだろ」
私は上手くいったのを見た事がないけど。
そんな話をしていると、小川君が何か話したそうに私と高広を見ていた。
話したいなら話せばいいのに。
「小川君、何か言いたい事があるの? 何でも言いなよ」
「あ、ああ……うん。森崎さんを否定するわけじゃないんだけどさ、伊勢君も袴田君も、僕の憧れなんだよ」
いったい何を言うかと思ったら、高広と武司に憧れてる?