胸ポケットから手帳を取り出して、パラパラとそれを眺め、うーんと唸った。


前回の「カラダ探し」が終わった後、皆で話しに来た事が細かく書き込まれている。


「八代先生は、『赤い人』の『呪い』はどうやったら解けると思いますか?」


私のその質問に、長くなると感じたのか階段に腰を下ろして手帳を見る。


「ここには、伊勢君や浦西君が小野山邸で見た幻について書かれている。『赤い人』は美紀を呪って、殺すと同時に誕生した……とね」










つまり……どういう事なんだろう?


美紀を呪って、美紀を殺したのなら、それで恨みは晴らせたと思ってしまうけど。


「その直後、美紀の幽霊が『赤い人』を捕らえてしまったように見えた。そうなんだろう? 伊勢君」


さらに続けた話を高広に振る。


「たぶんな。そんな感じだったと思うけどよ」


「そうだとすると、美紀が『赤い人』を捕らえている限り、チャンスはないって事?」


結局話はそこに行き着くのか。


少しでも何かがわかればと思ったのにな。


「香山さん。こ、この話わかる?」


「さっぱり……小川君もわからないでしょ?」