高広に言われるとは思っていなかったのだろう。


驚いたような表情で、うつむいていた顔を上げた。


「え? あ……それ以外の事はないんだけど。でも、小川君が死んじゃって、三神さんは『赤い人』に追いかけられたし。私は……まあ、助かったんだけどね」


ペースよく進めていたのに、中島君の乱入によってかき乱されてしまったんだよね。


「結局、工業棟はどこまで調べる事ができたの?」


「三神さんが戻ってきて、一応全部調べたよ。でも、カラダは見つからなかったよ」


中島君が邪魔さえしなければ、もっと調べられたかと思うと悔やまれる。


あれだけひとりで全部見つけると言っていたけど、どこまで調べたんだろう。


かなりの出血があったら、それほど長時間動く事はできないと思うけど。


床に血痕があれば、「赤い人」はそれを追ってくるだろうし。


何にしても、中島君はその原因を作った私を恨んでいるに違いない。


しばらく屋上で話をしていたら、申し訳なさそうに小川君が現れた。


まだ私達に溶け込めないのか、それとも高広に怯えているだけなのか。


屋上に出て、私達から少し離れた位置で、柵にもたれてかがんだ。