カバンを持って廊下に向かって歩いた私は、日菜子に屋上を指差して見せた。


「ちょっと待てよ。俺がいないとまずいだろ? 一緒に行ってやるって」


あー、そう言えば中島君もいたんだった。


もういろいろな事がありすぎて、何を考えればいいかわからなくなって来てる。


遥はどうするのかわからないけど、とりあえず3人で屋上に向かった私達。


あんな幸恵と同じ空間にいるなんて、耐えられそうにないから。


「明日香、どうして幸恵はあんな姿になったわけ? 道路で叫んじゃって、周りの人に変な目で見られたよ」


「どうしてと言われても……誰かが幸恵をあんな風にしたとしか考えられないよ。武司か、中島君か、小川君の中の誰かだと思うけど」


そんな事をする可能性が一番高いのは……中島君だ。


自分が助かるためなら、なんだってやりそうだし、昨夜の事が頭から離れなくて、それ以外の可能性を考える事ができない。


屋上に出て新鮮な空気を吸っても、幸恵の姿が頭から離れない。


「やっぱり……中島君なのかな。『昨日』の夜もひどかったし」


ボソッと呟いた日菜子の言葉に、私よりも早く、高広が反応した。


「なんだ? 『赤い人』を押しつけた以外にも何かしたのか?」