私の姿を確認した遥が仁王立ちで道をふさぎ、近よった私を見下ろすように、冷たい眼差しを向けてそう言った。


「えっと……中島君が『赤い人』を皆に押しつけたって聞いて、カッとなってさ。ビンタしたら腕をつかまれちゃって、逆にビンタされて。頭の中が真っ白になって、ナイフで腕を切っちゃったんだ」


顔色ひとつ変えずに私を見る遥。


この気持ちを、少しでもわかってくれるかな……と思ったけど。









「それで怖くなって動けなくなったなんて言わないわよね? そこまでやったなら殺してしまいなさいよ。中途半端に生かしておいたら、何するかわからないでしょ? 逆らう気も起きなくなるほど、徹底的にね」









遥の言葉は、私が感じている事を完全に否定している。


それは、私達が「カラダ探し」をしている時に毎日驚かせて、抵抗する気を奪ったのを思い出させる言葉。


性格が、頼み方に影響していると言うのがよくわかる。


どうすればこんなにひねくれた性格になるのか。


愛想笑いを浮かべながら、私は不思議に感じていた。


言ってる事はわかるよ?


邪魔をするという意味では、健司なんてカラダを探さずに私達を殺していたからさ。