もしも、何人かが残ったとすると、その中から棺桶に入る人を選ばなければならないから。


その選択肢に入れられるのが嫌なのだ。
私だって……嫌だ。


美雪が「呪い」を解くその場にいられないのは。


高広とふたりで歩いていると留美子と合流。


話しながら3人で学校に向かっている途中、大通りの交差点で、髪の長い女の子が誰かを待つように立っていたのだ。


「うげっ! あれって遥じゃないの!? 懲りずにまた高広を待ち伏せしてんの!?」


留美子が声を上げて、シルエットでしか捉えていなかったその姿が、鮮明に遥になっていく。


「いや、俺じゃなくてよ、明日香に用事があるんじゃねぇか? たぶん……『カラダ探し』の事だろ」


高広に言われるまでもない。


逃げろと言われて逃げなかった私に、文句のひとつも言いたいのだろう。


それは覚悟しているし、高広と留美子が一緒にいてくれるから。


守られているなんて考えているわけじゃないけど、心強く思える。


「明日香。どうして逃げなかったの? 『赤い人』が来てるのは見えていたでしょ?」