「ああ……あの子供か。いやあ、やっぱり協力って大事だよね。工業棟に皆いてくれたからさ、殺されずに何とかなったよ」
ハハッと笑って、壁を支えにして立ち上がる中島君。
協力って……。
皆いてくれた?
何とかなった?
え? あれ?
中島君は、「赤い人」を振りきったんじゃないの?
それってつまり……。
何を言っているのか、必死に理解しようと考えていると……。
「ひぎゃあああっ!!」
廊下の奥から……小川君の悲鳴が聞こえた。
私が考えていた事の答えは……頭を悩ませるまでもなく、その声が教えてくれたのだ。
工業棟で何が起こったのか。
遥と日菜子はどうなったのか。
「中島君……まさか、皆の所に行ったの? 『赤い人』を連れて……」
それは、小川君と遥が心配していた事だ。
私はそんな事をするはずないって思ってたのに……。
あの時の翔太みたいな事をしないでほしいと思ってたのに。
笑顔を浮かべる中島君は、あの時の翔太とは違う、悪意のようなモノを感じずにはいられなかった。