「一緒に私のところへ来てくれたらよかったのに……」


「それじゃ、おまえをひとりきりにするってコンセプトが崩れるだろうが。疲れれば泣き止むかと思ったんだが……まさか泣き通しとは……」


ゼンさんは優しい。でもそのせいで、彼の誕生日はやっぱり大変なものになってしまった。
しかし、みなみ、一時間半もよくパワーがもったね。


「みなみはママがいないっていうのがわかるみたいだな。あんなに大泣きしたのに、今はもう静かじゃないか」


ゼンさんはため息をつきながら、私の買い物荷物を運び、ダイニングテーブルで仕分けを始めた。

私の腕の中で、みなみはすんすん鼻を鳴らしながら私を見ている。
その顔は恨みがましくも見え、また甘えているようにも見えた。
泣きすぎて真っ赤なままの顔。余計に不細工で可愛い。

みなみは私のことがちゃんとわかるんだ。
今更ながら、そんなことを実感する。