「きっと、俺が赤ん坊の時も歌ってくれたんだろうな。子守唄替わりに」
ベッドの横にひざまずき、ゼンさんはみなみの手ごとお義母さんの手をぎゅっと握る。
お義母さんの表情は変わらなかった。ただ、歌っていた。
昔から繰り返し歌った曲を、当然のように目の前の赤ん坊に聞かせてくれた。
それが自分の孫であることもわからない。
隣に大事なひとり息子が寄り添っていることもわからない。
それでもこの一時は親子の再会の時間だった。
やっと、長い時間をかけて、ゼンさんがお義母さんに会えた瞬間だった。
「お袋……ごめんな。お袋……」
ゼンさんの瞳からはたはたと涙がこぼれ、ベッドのシーツを濡らした。
長い間隔たっていた息子の悔恨の涙。痛々しく苦しく、胸を締め付けられる光景だった。
お義母さんはいつまでも同じ歌を歌っていた。
彼女の中では、幸福ないつかが繰り返されているのかもしれない。
その世界で幼いゼンさんと暮らしているのかもしれない。
それは、とても安らいだ日々ではないだろうか。
ベッドの横にひざまずき、ゼンさんはみなみの手ごとお義母さんの手をぎゅっと握る。
お義母さんの表情は変わらなかった。ただ、歌っていた。
昔から繰り返し歌った曲を、当然のように目の前の赤ん坊に聞かせてくれた。
それが自分の孫であることもわからない。
隣に大事なひとり息子が寄り添っていることもわからない。
それでもこの一時は親子の再会の時間だった。
やっと、長い時間をかけて、ゼンさんがお義母さんに会えた瞬間だった。
「お袋……ごめんな。お袋……」
ゼンさんの瞳からはたはたと涙がこぼれ、ベッドのシーツを濡らした。
長い間隔たっていた息子の悔恨の涙。痛々しく苦しく、胸を締め付けられる光景だった。
お義母さんはいつまでも同じ歌を歌っていた。
彼女の中では、幸福ないつかが繰り返されているのかもしれない。
その世界で幼いゼンさんと暮らしているのかもしれない。
それは、とても安らいだ日々ではないだろうか。