「美津さん、久しぶり」


明るい声をあげたのは、社長だ。


「この前プレゼントしたカーディガン、着てくれてるんだね。嬉しいなぁ」


社長がお義母さんに近付き、親しげに話しかける。
横で職員さんが答える。


「そうなんですよ。毎日ご自分で選んで着てるんです。お気に入りなんですよねー、一色さん」


「うわ、ホント!?よかったぁ!」


社長が大きくリアクションをする。


「今日は美津さんに会わせたい人がいるから連れてきたんだよ」


社長が言い、いまだ居室のドア付近に立ち尽くしていた私たちに視線を投げた。

心臓か跳ねた。行かなきゃ。
私はみなみを抱っこひもから降ろすと、ベッドに歩み寄る。


「こんにちは、ご無沙汰しています」


私はお義母さんに声をかけた。