顔のほとんどを枕に埋めているので、彼の声はくぐもっていた。
どうやら、恥ずかしいことを言っているので、顔を見られたくないみたいだ。
部屋は常夜灯しかついていないんだし、気にしなくていいのに。


『たぶん、俺は期待してたんだ。佐波に余裕が出てきたら、俺の方を向いてくれるかなって。恥ずかしいことに、かまってもらえるのを待ってたんだよな』


『恥ずかしくないよ。嬉しい』


私が甘い声で彼の裸の背中に頬を寄せても、ゼンさんはこっちを見てくれなかった。
娘に嫉妬してしまったのが、恥ずかしく悔やまれる様子。


『ほったらかしてごめんなさい、ゼンさん』


みなみのことでいっぱいいっぱいだった私は、ゼンさんを放置しすぎていた。
夜泣きに付き合って一緒に散歩してくれたり、泣き止まないところをあやしてもらったり、手伝いばかり受け取って、愛情のお返しを忘れていた。


『ゼンさん、お願い。こっち向いて』


『佐波……』

ゼンさんが上半身を起こし、こちらを向く。私はその胸に飛び込み、彼の唇を奪う。
そうして、私たちは時間の許す限り、甘い夫婦の時間を味わった。