正直、熟睡ではない。
みなみの泣き声に意識は逐一反応していたからだ。
それでも、普段よりずっと眠れた感覚がある。

今はおっぱいが痛い。
乳腺炎のせいと、授乳の間隔が空いたから張って痛いのだ。

早く授乳するか、手で絞る搾乳をしなければならない。


部屋は静かだった。
ゼンさんの姿もみなみの姿もない。


私はそろりそろりとリビングに移動する。


リビングのソファで毛布をかぶり、ぐったりと寝こけている二人を発見した。

ローテーブルやダイニングテーブルには粉ミルクや哺乳瓶が散乱し、
泣き止ませに使ったと思しきおもちゃや抱っこひも、スリングが床に転がっていた。


二人の闘いは壮絶だったようで、今死力を尽くした二人は戦友となり、
仲良くソファに転がり眠りの世界にいる。

私はみなみへの授乳を諦め、冷凍保存用のパックを手にした。
母乳は搾乳し、冷凍しておこう。