えーと、手順によれば、女児だからみなみは私の右膝へ。

みなみは長らく相手にしてくれなかったママの帰還に、機嫌よく寄りかかっている。
さっきまでたそがれ泣きで大騒ぎしていたので、社長とゼンさんが交互に抱っこして子守唄を歌ってたっけ。

年長者である社長が箸をとり、みなみの口に料理を運ぶマネをする。
ちなみに社長の新しいビデオカメラがゼンさんが回している。しょうがないよね、役回りが決まってるから。


「みなたん、ほらごはんだよ」


赤ちゃんがごはんを本当に食べるとお祝いとしては縁起がいいらしい。
社長はなんとかみなみの口にごはんの一粒でもと苦心しているけれど、知らないものをあてがわれてみなみはきゅむっと唇を閉ざしている。

うーん、なんて芝居ッ気がないんだ、うちの娘。

歯固め石という、神社の境内からいただいてきた石を唇に持っていくと、なぜかそれにはしゃぶりついた。

みなみさん、なぜ石は食べるんだ……。