ゼンさんは私たちのそばに歩み寄ると、まずみなみを抱き上げた。

ゼンさんの大きな腕で揺すられると、疲れたのかみなみは泣き止み、彼の胸に顔を埋めておとなしくなった。


「なんでゼンさんだと泣き止むの……?」


「偶然だよ。ビギナーズラック」


ゼンさんはみなみを抱いたまま、私の横にあぐらをかいて座った。


「ずっと泣き止まなかったのか?」


「うん……お夕飯、作れなかった……」


「そっか」


ゼンさんは労わるように微笑んで、私の頭をポンポンと撫でた。


「疲れたな。ここからは俺が抱っこするから」


ゼンさんの笑顔と言葉に私はまた泣けてきた。

自分への不甲斐なさと、ゼンさんの優しさで涙が止まらない。