きみの残像を思い浮かべ、きみの温もりを忘れないように必死に体に刻み込む。


今思えば、24時間という時間はなんて短かったのだろう。


いつも24時間という一日は長いと思って生きてきたけれど、実際はそうではなかった。


人それぞれに時間の長さの感じ方は違うことは分かっている。


僕にとっての24時間、一日は、とてもとても短いものだった。


きみといた24時間の間、何度願っただろうか。


このまま時を止めてください、僕は心のなかで何度も何度もそう願った。


けれど、それは叶わぬ願い。


時が過ぎるからこそ、世界はこんなにも美しい。


時間が進むからこそ、一瞬一瞬がこんなにも大切で。


生きていることの奇跡も、大切な人がいる愛しさも、一瞬がもう二度とない幸せの欠片だということも、──誰かを心から愛することも。


目に映るこの世界の美しさも。


全て、きみが教えてくれたこと。


自分でも知らず知らずのうちにあきらめていた命を、生きることをやめようとした僕を救うために神様がくれたもの。


それは、24時間、たった一日の夏の奇跡だった。


僕はこれから夏を迎える度に、この日のことを思い出すだろう。


この夏の奇跡を、幻になんてするもんか。


きみと再会を果たしたこの夏を、僕は一生忘れない。