食い入るようにゆりあの言葉に耳を傾ける。


「……毎日泣いてる私のところにね、あの再会をしたとき話した小さな人間が現れてね。そんなにつらいなら、24時間だけになるけれど大切な人に会いに行きますかって、そう言ってくれた。……でもね、その選択には代償があった」

「……代償?」

「会いに行ったその人との今までの記憶が全て消えること。その人の存在や思い出が、私の記憶から消されてしまうこと。それが優太に再び会いに行くという選択肢を選ぶ代償だった」


空を見上げたままのゆりあと何も言えない僕。


ふたりの思いは、どこをさ迷っているのだろう。


なぜだか苦しくてたまらない僕の頭のなかに、ふと疑問が浮かび上がる。


……僕との記憶が全て消えると分かっていながら、どうしてゆりあは僕に会いに来てくれたの?


さっきゆりあが言っていたように、どうしても僕に会いたかったから?


ぐるぐるぐるぐる様々な考えが胸のうちを回るなかで、ゆりあが再び口を開く。


「優太の記憶を失いたくはなかった。優太との大切な思い出を、私を愛してくれた優太という人を、忘れたくなかった」

「……それなら、どうして」

「優太が好きだからだよ」


前を向いて星空を見てそう言い切ったゆりあの声は、海の向こう側まで届くような澄んだきれいな声だった。


きみの言葉が胸にじんと響く。


「……僕のことが好きなら、そんなにも好きでいてくれてるなら。どうして、」

「優太。優太はなにか勘違いをしてない?私が知らないとでも思ってた?」

「……え?」

「私は知ってるよ。私が亡くなってから優太がたくさん泣いてくれていたこと。私のことをずっと思ってくれていたこと。そして、一番よくない方法で私に会いにきてくれようとしていたことも」


そこで、ようやくきみが僕のほうへ振り返った。


全て私は知ってるんだから、そう訴えられているようなそんな瞳が僕を見つめる。


……そうか、知っているのか。