夏未先生は、芽衣の肩に手をかける。


「だから……お友達の協力が必要なの」

「莉子……」


先に泣き出したのは芽衣だ。


「莉子……どうして、莉子が……」


私の手をギュッと握って涙を流す芽衣は、素敵な友達だ。
芽衣の後ろで立ち尽くしたまま静かに涙を流す千春は、いざとなると一番頼りになる存在だ。


「ごめんね。芽衣、千春」

「莉子が謝らなくてもいいんだよ」


千春が首を振りながら、私の手を握る芽衣の手に自分の手を重ねた。


「私達はずっと友達だからね。
顔なんかわからなくたって……」


言葉が続かなくなった千春は、「私は千春、だよ」と苦し紛れに言ってくれた。


「うん、千春……そして、芽衣」


溢れる涙を手で拭いながら、彼女達ひとりひとりに視線を合わせてそう言うと、ふたりは懸命に笑ってくれる。