彼女は少しだけうねりのある髪を、いつもハーフアップにしているから。
もうひとりも長いけど、彼女はサラサラで結んでいない。
おそらく芽衣だ。
一生懸命眼球を動かす。
情報をできるだけ収集しなければ。
あとは……なんだっけ……。
「莉子?」
知らない間に涙が溢れていた。
あんなに仲良しだったのに。
親友だと、思っていたのに……わからない。
「自己紹介、してくれる? まずはあなたから」
「自己紹介、ですか?」
千春らしき方の女の子が不思議そうな顔をする。
「話はあと。とりあえず」
夏未先生はさりげなく私にティッシュを渡しながら、ふたりの名前を聞いてくれる。
「阿部千春、です」
やっぱり私の感は当たっていた。