「はい」


私の代わりに先生が返事をしてドアを開けると……。


「莉子……よかったよぉ」


清和高校の制服を着た女の子がふたり。
多分、芽衣と千春だ。


ふたりが来てくれてうれしかったのに……見分けられない自分に酷く落胆する。
父や母は無理だったけど、もしかして……と思ったのに。


「あら、莉子ちゃんのお友達?」

「はい」

「いらっしゃい。莉子ちゃんの症状について、聞いてる?」

「はい。意識も戻って、もう大丈夫だって」


私が彼女達を見分けられないことを、まだ知らないようだ。


「それじゃあ、入って?」


出て行こうとしていた夏未先生は、再び戻ってきた。


「莉子! 心配したよ」


最初に口を開いた髪の長い女の子は、千春、かな。