「うーん。原因がわかっていないから、治療法も確立されていないわ。
だから……医学的には治らないとしか言ってあげられない」


心臓がドクンと大きく打った。
なに、言ってる、の?


「ただ、さっき言ったみたいに、他の要素で誰なのか判断することで、生活は十分できるわ。
周りの人の協力も必要ね」


本当に、治らない、の?

野上先生の言っていることをうまく飲み込めない。

顔が判断できないなんて大したことない、なんてとても言えない。
だって、父や母でさえわからないんだよ?



「これから脳外科にもアプローチして、全力でサポートする。
絶対にあなたをひとりにしない」


野上先生は涙で潤んだ私の瞳をじっと見つめる。


「私には言いたいこといいなさい。
長瀬さん、さっきお母さんの前で不安を我慢してたでしょう?」


その言葉をきっかけにポロポロ涙が溢れだした。