先生の質問にハッとした。

事故に遭うまでは、男か女かなんて、余程中性的な人でない限りすぐに判断が付いた。
だけどさっきは……先生の髪とか、声などで判断した気がするからだ。


私が口をつぐむと、先生が代わりに口を開いた。


「髪が、長いわね」

「……はい」

「おそらく声も高め」

「はい」

「薄いけど化粧もしてるし……」


もう言うことはなかった。
先生はすべてお見通しだ。


「もうちょっと色気が欲しいんだけどね」


あははと笑って和ませてくれる先生は、心のスペシャリストというのもうなずける。


「この症状の原因はよくわかっていないの。
ただ、脳の一部が傷ついてしまったと考えられているわ」


脳が、傷ついた?
それって、すごく大変なことじゃないの?