「じゃあな」

「うん」


それでも私は、満面の笑みで彼の背中を見送る。
すぐに響ちゃんに駆け寄ってきた、和代(かずよ)先輩に激しく嫉妬しながら。


彼と同じ歳の和代先輩は、私とは違って大人の雰囲気が漂っている。
とてもひとつ違いとは思えない。

長いストレートの黒髪は、風にたなびいて、見ているだけでいい香りがしてくる気がするほどだ。

それに比べて私は……伸ばした髪だって、肩にやっとつくほどの長さだし、なんといっても顔が童顔。
響ちゃんに時々「小学生」と言われるくらい、幼く見える。


「莉子、おはよ」

「おはよ、芽衣(めい)」


芽衣は中学からの友達で、同じクラスに在籍している。

背が低くて甘えん坊。
感性が豊かで、とってもかわいらしい女の子。