「ここ、失礼するね」


先生はベッドの横の丸椅子に座った。


「緊張しなくていいのよ。私はあなたの味方。
整形外科の先生からちょっと聞いたわ。
お母さんのこと、やっぱりわからなかった?」


私は小さく頷いた。


「そっか……」


野上先生は整形の先生のように顔色を変えることなく、落ち着いている。


「不安、よね」


真っ直ぐに私を見つめる先生は、ひとりで納得するように何度も小さくうなずく。


「詳しく検査してみないといけないけど……。ちょっと、これ見て?」


先生は持っていたカルテの間から一枚の絵を取り出し、私に見せた。


「ここに、三人の顔があるわね。この人はどんな感情を表しているかしら」


先生が指差した一番左の顔は、涙を流している。


「悲しい?」