「どこか痛みますか?」

「あた、ま……と、足……」

「まだケガを負って間もないので、痛みは出るでしょう。鎮痛剤を追加して、様子を見ましょう」


看護師に指示を出した先生は病室を出て行った。


まだ目を開けていることすら辛い私は、再びゆっくり目を閉じる。
目を閉じてもさっきの人達のすすり泣きが聞こえてくる。


「お父さん、莉子……」

「よかったよ。あとは焦らないで治していこう」


もうひとりは、お父さん、なんだ。


「響君に連絡してあげなさい。ひどく心配している」


響ちゃん?
彼の名前を聞いた瞬間、心臓がドクンと跳ねる。


響ちゃんが心配してくれた、の?
なんだか懐かしく感じる響ちゃんの名前に、目尻から涙が零れた。