学校までは、徒歩で十五分。
近いからここにしたなんて響ちゃんは余裕だったけど、難関国立大に合格者を何人も出すほどの進学校で、私は必死に勉強した。
もちろん、響ちゃんと同じ学校に通いたかったからだ。
彼は……お父さんの跡をついで医者になるつもりだったから、このくらい余裕だったらしい。
だけど、離婚となってしまってから、その目標も見失ってしまったように見える。
晴れたとはいえ、道路は水たまりでいっぱいだ。
「あー、濡れた」
「いちいちうるさいな。ホントに遅刻するぞ」
「そんなの響ちゃんが早く起きれば済むことじゃん!」
チラッと後ろを振り向いて私を確認した彼は、再び大股で歩き始めた。
やがて校門が見えてくると、テンションが急降下する。
ここまでなのだ。
“私の響ちゃん”は。