どうやらここは病院だと気が付いたのは、独特の消毒のにおいと、鼻につけられた酸素の管のせいだ。

全身がだるくて、まるで自分のものではないみたいに動かすことができない。

すぐに白衣を着た医師とナースがやってきて、私の脈をとったり心電図を確認したりしている。


「よかったですね。意識が戻られて」


先生が泣いている人達に話しかけている。


「長瀬さん、聞こえますよね。ここは野上総合病院です。
よく頑張りましたね」


野上総合って……この辺りでは一番大きな病院だ。

いろんなことを聞きたいのに、口がうまく動かない。
すると、白衣の先生が再び話し始めた。


「あなたは暴走車に突っ込まれて、事故にあったんです」


そういえば、白い車が私の方に向かってきたことまでは覚えている。